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刑法論パタ講義2-3-13について質問です。
甲の殺人罪を成立させる手順について、回答では一部行為全部責任を前提に行っていますが、単独の間接正犯を成立させる流れは問題あるのでしょうか。
回答手順として、Aの業務上過失致死罪⇒甲乙の障害からの傷害致死⇒甲の殺人罪の間接正犯の流れです。甲がBへの協力依頼を通じてAを道具として殺人に及んだと捉えられないかと考えています。よろしくお願いします。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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本問特有のひねりとして、「Aについて甲乙両名が利用行為をしている」という点があります。そのため、甲の単独の間接正犯としてしまうと、このひねりの部分に答えられないという問題点が生じます。
したがって、間接正犯については上記のひねりに答えるという形で、甲乙両名の行為2・3について先に共同正犯を認めた上で、Aを甲乙両名の間接正犯の被利用者として処理するのが答案例です。
もっとも本問は非常に難しい問題ですので、実践的には甲の単独で間接正犯を認めても合格ラインに乗ると考えられます。
そのため、甲が乙への協力依頼を通じてAを一方的に支配利用しているとして、甲・A間で単独の間接正犯→甲乙間で重なり合う傷害致死罪の限度で共同正犯とするのが、実践的にはあり得ます。
ちなみに、挙げていただいた甲乙の障害からの傷害致死⇒甲の殺人罪の間接正犯は、順番が逆の方がおそらく無難です。より重い行為から検討するのがセオリーなので、黒幕である甲の単独の間接正犯→協力した乙との関係で甲乙に傷害致死罪の共同正犯の方が流れがよいと考えます。 (さらに読む)
論パタ刑訴2-1-7で、職務質問からの所持品検査を違法としてその後の捜査機関の行為を違法性の承継を使って処理するだけだと合格ラインにのることは厳しいのでしょうか?講義内で、所持品検査を米子銀行の判例を使って適法方向に論述することはギリギリではあると仰っていったので試験対策としてはどちらの筋で論述すべきか教えていただきたいです。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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挙げていただいた処理内容ですと、逮捕に伴う無令状の捜索差押えに言及できていないので、合格ラインを下回るリスクが高いです。
本問は、問題文8行目に「現行犯逮捕」という言葉があるので逮捕がなされようとしており、10行目以降では、逮捕の際に注射器等の捜索差押えをしているという事情がありますので、逮捕に伴う無令状の捜索差押えが問われていることが明らかです。
そのため、逮捕に伴う無令状の捜索差押えを論じていないと、問題文8行目以降の事情が適切に処理できていないとして、点数が伸びない可能性が高いです。
試験対策としては、問題文前半の所持品検査については、これを違法としてしまうと違法性の承継という解釈論が問題となり、後半の逮捕に伴う捜索差押えの処理がややこしくなると考えます。
そこで、前半の所持品検査についてはしれっと適法にして、後半の逮捕に伴う無令状の捜索差押えを別途検討するのが解答筋としては最も無難です。 (さらに読む)
論パタ刑訴法の捜査パターンで強制処分のあてはめで、制約されている権利が「重要」かどうかを憲法の条文(33条や35条)を使って説明していますが、これらの条文以外から「重要」かどうかを基礎付ける説明は可能なのでしょうか?または、上記条文から説明できない権利は一律「重要」ではないという理解なのでしょうか?
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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これについては、GPS大法廷判決との兼ね合いから「本件(GPS大法廷判決)で問題とされた被侵害利益が…憲法35条の保障するものであったことから、被侵害法益が重要なものであるということを簡明に説明できるため、このような表現を取ったものであって、強制処分として認められるためには非侵害法益がすべからく憲法の保障するものでなくてはならないことを意味するものではないと解される」という旨の調査官解説があります(『事例演習刑事訴訟法』20頁)。
そのため、上記解説から「非侵害法益がすべからく憲法の保障するものでなくてはならないということまでは意味しない」といえるところ、被侵害法益がそもそも憲法の保障するものであること自体が必須ではないと考えられるので、33条・35条以外の条文から「重要」かどうかを基礎付ける説明はあり得ると考えられます。
すなわち、被侵害法益の重要性について憲法による保障が常に必須ではないと考えられるので、33条・35条による保障だけが常に必須ということにならず、33条・35条以外の他の条文からも「重要」性を基礎づける余地はあると思料します。
また、上記解説の「被侵害利益が…憲法35条の保障するものであったことから、被侵害法益が重要なものであるということを簡明に説明できるため、このような表現を取った」という点から、33条・35条から説明できない権利は一律「重要」ではないということにはならないと考えます。
これは、本件で35条による説明が簡明だったために同条が引用されたという意味合いであり、33条・35条から説明できない権利だとしても「重要」性を否定することには直結しないと思料します。
したがって、他の条文から説明できる権利であっても「重要」性を基礎づける余地はあると考えられます。 (さらに読む)
4S条解テキスト刑訴法83頁イ(イ)捜索場所の居住者の携帯物への捜索差押え→可とありますが、捜索場所の居住者の『身体』の捜索の場合は可能なのでしょうか?
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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「場所」に対する捜索差押令状では、その「場所」にいる居住者や第三者の「身体」(例えば着衣のポケットなど。前提として、その人の着衣は「身体」に含まれます)を捜索することは、原則としてできません。
人の「身体」という生身の肉体は、「場所」という空間的範囲と一体化する(「身体」についての権利利益が「場所」についての権利利益と一体化する)と見ることはできないからです。
しかし例外的に、差押対象物を捜索場所にいる者が着衣のポケットに隠匿したと疑われる場合であれば、「必要な処分」(222条1項・111条1項)として、その居住者などの着衣のポケットを捜索することができます(以上につき『リーガルクエスト刑事訴訟法』132頁)。
(さらに読む)
第9回起立斉唱事件多数意見vs宮川意見についてです。
両者では誰を視点にするか
→多数意見⇒一般的,客観的に
⇄宮川意見⇒その人のみに着目
であり、後者は多数派に基づく過小評価の虞から多数意見を批判していますが、他方前者は何故一般的視点で評価することが許されると考えたのでしょうか?その人において密接であるかどうかの判断が明確にできるとは限らないと考えたからなのでしょうか?
参考リンク
明示されてはいないものの、そうした考慮があるものと思われます。主観的に侵害だといえば、憲法上の権利侵害であるということは困難という理解でしょう。 (さらに読む)
Law Practise 民法Ⅰの第19問についての質問です。
参考答案では、XY間の交換契約における顕名について、B は,代理⼈であることを明らかにしていないため、顕名は認められないとされていますが、
BはAの代理⼈であることを明らかにしていないにすぎず、Yの代理人として振る舞っているため、顕名があると考えることはできないでしょうか。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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解答例の通りとなります。
勉強のために、ロープラの解説、基本書をご確認ください。 (さらに読む)
論パタ刑訴2-1-2. 任意捜査のあてはめについて。
正当な「捜査~目的を達するため」の「必要」性の要件である必要性の対象をどのように特定するのか教えていただきたいです。本問では、捜査官のビデオカメラの撮影行為が必要性の対象ということでしょうか?
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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本問では、捜査官のビデオカメラの撮影行為が捜査の必要性の検討対象となります。
任意捜査の適法性の検討においては、当該捜査の必要性を踏まえた上で相当かどうかを検討します。この必要性の検討対象は具体的な個々の捜査であり、問題文から検討対象となる具体的な捜査を拾います。
この気づき方としては、問題文中で検討対象となる捜査に傍線が引かれることが多いですが、それがない場合は問題文の指示をもとにして探します。そうすると本問では、問題文の冒頭で「警察官P、Qによる以下の撮影行為の適法性」を検討するよう指示があるので、PとQが行った撮影行為を探せば大丈夫です。
そうすると、ビデオカメラで撮影するという行為がなされているので、このビデオカメラの撮影行為を捜査として拾い、その撮影行為を対象として必要性を検討します。
そして、必要性の検討においては、対象となる犯罪の性質・重大性、捜査対象者に対する嫌疑の程度、当該手段によって達成される捜査目的等に関わる具体的事情を拾えるとよいです(平成30年司法試験の刑訴法の出題趣旨を参照)。 (さらに読む)
刑法論パタ2-3-7.不能犯と因果関係について
実行行為段階で不能犯を検討して実行行為性を認めた場合、通常は因果関係も認められるという認識は誤りでしょうか?講義内、乙の罪責検討で実行行為性(不能犯)で検討した事情がそのまま因果関係の検討にも妥当するような趣旨の解説がされていたので、実行行為性(不能犯)肯定→因果関係否定となるような事案があるのか気になりました。
ご質問をいただきありがとうございます。
挙げていただいたご認識は、採用しない方が安全と考えます。なぜかといいますと、実行行為性の有無と因果関係の有無はあくまで別個の問題ですので、一般論としても、実行行為性があれば通常は因果関係が認められるという芋づる式の関係ではないからです。
構成要件の客観面の検討においては、殺人罪や傷害罪のように構成要件がシンプルな犯罪については、①実行行為→②具体的な結果発生→③実行行為と具体的な結果との因果関係の順番で検討します。
実行行為性は①の問題、因果関係は①②があった後の③の問題ですので領域が異なり、①があれば芋づる式に③もあるという感じにはなりません。
本問では、実行行為性で検討した事情が因果関係でも使われていますが、これは「1つの同じ事情が2つ以上の要件や領域で当てはめられることもある」というものでして、その同じ1つの事情に対して異なる評価をすることで、2つ以上の要件や領域で当てはめ可能というものです。
そのため、不能犯においても、①実行行為性の有無、③実行行為と具体的な結果との因果関係は異なる領域として、本問の答案例のように別個に区分けして検討します。
また、実行行為性肯定→因果関係否定となるような事案としては、一般論としては、結果発生があるものの因果関係が切れる場合が想定されます。つまり、条件関係がそもそもない場合や、条件関係はあるものの第三者の介在事情の異常性・結果発生への寄与度が高く危険の現実化が認められない場合です。
ちなみに、不能犯が問題となる事案において実行行為性が肯定される場合には、不能犯を肯定ではなく、未遂犯を肯定となります。不能犯は実行行為性が認められず未遂犯にもならない場合ですので、不能犯を肯定する場合とは未遂犯にもならない場合です。
そのため、実行行為性が認められるのであれば未遂犯となるので、「実行行為性(不能犯)肯定」というよりかは、実行行為性(未遂犯)肯定と表現するのがベストです。 (さらに読む)
刑法論パタ2-3-2で問題文二段落目のXの行為につきYの教唆犯を検討していますが、Yの教唆故意を講義内で認めています。しかし、本来Yは、二ヶ月に一度、30万円の範囲内での処分行為しか承諾しておらず68万円相当の電化製品を買い求めることは認識してないため、教唆故意が認められないのではと思いました。これらの事情は教唆故意との関係では問題とならないのでしょうか?
ご質問をいただきありがとうございます。
これは答案例94行目にありますように、YがXにクレカを貸した際には、Xの横領を予定はしていなかったのですが、他人にクレカを使わせること自体に大きな問題があるので、このクレカ貸出行為が有印私文書偽造及び同行使罪・詐欺罪につながることを予定していた以上は、そこからXが羽目を外して横領することも想定できるとして、教唆故意を認定できます。
この教唆故意については問題文の事情が少ないので、挙げていただいたように「二ヶ月に一度、30万円の範囲内での処分行為しか承諾しておらず68万円相当の電化製品を買い求めることは認識してない」と論述して、教唆故意を否定する筋もあり得ると考えます。
しかしこれは見方を変えれば、横領罪の教唆故意を敢えて否定する事情が他にないので、問題文から空気を読んで、教唆故意の肯否は問題となっておらず、端的に肯定すればよいとも考えることができます。
つまり、Xという他人にクレカを使わせる行為自体が、カード発行会社との関係で大きな問題のある行為です。このような大きな問題のある行為をYがしている以上は、Xがクレカを使うに当たって、私文書偽造罪・同行使罪・詐欺罪、そして羽目を外して商品をねこばばするという横領罪まで教唆故意があるだろうと、クレカ貸出行為自体から認定することが可能です。
すなわち、クレカ貸出という大きな問題のある行為をしている以上は、その問題行為と連なる一連の犯罪については、いずれも教唆故意ありと考えるのが一手です。
この辺りは教唆故意に関する事情がほぼなく、説明の仕方次第という面もありますので、挙げていただいた事情を上手く説明できていれば、教唆故意を否定しても十分評価されると考えます。 (さらに読む)
論パタ刑法2-3-1
1.乙の間接正犯の検討で暴行罪や傷害罪ではなく殺人罪を検討したのは、甲において暴行罪や傷害罪が殺人罪に吸収されたからでしょうか?それとも出来る限り重い犯罪から検討することとして殺人罪から検討したのでしょうか?
2.乙の共同正犯の検討で正犯意思を肯定する事情として乙がAの監護義務を負うことが挙げられていますが、なぜ監護義務が正犯意思を肯定するでしょうか?
ご質問をいただきありがとうございます。
1について
乙において殺人罪を検討したのは、より直接的な行為者である甲に殺人罪が成立しているからです。そのため、「甲において暴行罪や傷害罪が殺人罪に吸収され」、主犯格である甲に殺人罪が成立しているからという理解で大丈夫です。
間接正犯や共同正犯の処理においては、基本的に成立する罪名が一致すると考えるので、共犯者の乙についても甲と同じ殺人罪を検討します。
2について
ここは、被害者との関係で監護義務がある場合には、その被害者と一定の人的関係があるため、その強いつながり故に、被害者に対する犯罪を積極的・主体的に行う動機・立場・能力などがあると考えるのが一手です。
つまり、監護義務のない場合と比べてみますと、監護義務という強いつながりがあれば、そのつながり故に積極的・主体的に犯行を行えるポジションにいそうだと評価できるので、正犯意思を肯定する事情として読み込むことが考えられます。
もっとも、正犯意思は監護義務などの1つの事情から一義的に決まるものではなく、様々な事情を考慮して決します。本問では甲が酒に酔ってAや乙に暴行を加えることを繰り返していた上に、乙も甲のBに対する暴行を止めなかっただけなので、これらの事情も踏まえ、正犯意思が否定されます。 (さらに読む)
刑法論パタ第66回2-3-13で、甲と乙の罪責について間接正犯からではなく、共同正犯から検討した意図がわかりません。他の問題では処理手順として間接正犯が駄目なら共同正犯と流れる順序だったので混乱しています。
ご質問をいただきありがとうございます。
まず本問では、答案例の36~44行目において、間接正犯と見る余地がなくはないものの、結論としては明らかに間接正犯ではない旨を示していますので、この36~44行目で間接正犯の検討を黙示的に行っています。
次に、本問の答案例18行目で共同正犯から検討した意図は、主犯格といえる甲との関係で、乙も傷害罪の認識を持っており、甲に対して犯行方法を提案するなど積極的に動いていることから、乙が一方的に支配利用されたとはいえず、間接正犯が明らかに成立しない点にあります。
間接正犯は、主犯格といえる利用者が、被利用者を一方的に支配利用しており、被利用者に規範的障害がないことが必要です。
しかし本問の乙は、Xが聴力を失うことは認識しているので傷害罪の限度では規範的障害があり、さらには、うその報告をするなどの犯行方法を甲に対して提案しているので、甲に便乗して積極的に犯行実現のために動いています。
そのため、乙に規範的障害があり積極的に動いているという点から間接正犯は明らかに成立しないと考え、答案例18行目のように共同正犯から検討・論述します。その上で間接正犯については、36~44行目の共同正犯の要件に絡めてその成立を否定しています。
もちろんここは、36~44行目の内容を18行目より前に書いていただいても全く大丈夫ですが、明らかに成立しない間接正犯を大展開すると途中答案になるリスクがあるので、36~44行目のように簡潔にその成立を否定する書き方もあるという点を示しています。
複数犯パターンについては、間接正犯→共同正犯→教唆犯・幇助犯の順番で検討するのは仰る通りなのですが、間接正犯が明らかに成立しない場合には、答案上は共同正犯から論述を開始するのが一般的です。この辺りは臨機応変に判断する必要がありますが、問題をたくさん解いて経験を積んでいただければできるようになりますので、大丈夫です。 (さらに読む)
パブリック・フォーラム論と「公の施設」(地方自治法244条)の関係性がわかりません。
「市民会館を利用する権利」という給付請求権を「集会の自由」(憲法21条)から導く過程において、市民会館のパブリック・フォーラム性を指摘すると思うのですが、それを論じる際に、当時に「公の施設」該当性を論じるのでしょうか。
もしその際に「公の施設」を用いないのならば、「公の施設」該当性はどの場面で論じるのでしょうか。
ご質問をいただきありがとうございます。
パブリックフォーラム論と「公の施設」該当性は議論のレベルが異なる性質のものだと思います。
地方自治法の「公の施設」は、パブリックフォーラム論を論じるための要件(前提)ではありません。
泉佐野市民会館事件は、偶然、市民会館という「公の施設」だったというだけで、合憲限定解釈のためにパブリックフォーラム論を持ち出すこととの必然性はありません。
「公の施設」該当性を論ずべきか否かは個別具体的な事案・問題次第であり、パブリックフォーラム論を持ち出す際に必ず「公の施設」該当性を論じなければならないわけではないと思います。 (さらに読む)
論パタ刑法2-3-9で、甲と乙の事後強盗罪の共同正犯につき、甲に不法領得の意思が認められるのは分かるのですが、乙についての不法領得の意思はどのように認定すればいいのでしょうか?
ご質問をいただきありがとうございます。
この場合には、「乙は現場で全ての事情を了解していることから、不法領得の意思は問題なく認められる」と認定するのが一手です。
本問では、たまたまN支店内にいた乙が、甲から声をかけられて全ての事情を了解しているので、乙の主観面においては、犯罪成立において問題となる点はないと読み取れます。
そのため、問題文の下から7行目にある「直ちに全ての事情を了解」というフレーズを使って、故意や不法領得の意思を認定すれば足ります。また、このフレーズに気づけなかったとしても、乙の主観面において不法領得の意思の成否にかかわる事情はないので、「乙の行為態様から、不法領得の意思は問題なく認められる」と簡潔に認定しても問題ありません。 (さらに読む)
論パタ刑法2-3-8について、甲宅への放火行為につき115条の検討をして乙宅への放火行為については115条の検討がないのはなぜでしょうか?
また、同問題の講師答案例9行目で、「他人所有非現住建造物放火罪」と書かれてありますが、自己所有非現住建造物放火罪と書くと誤りでしょうか?
ご質問をいただきありがとうございます。
115条は、109条・110条の罪において自己所有か他人所有かが問題となる場合に使う条文のため、108条で処理する乙宅では問題となりません。
まず甲宅においては、Bが勝手に入り込んでいたため、甲宅への放火は、客観面では現在建造物放火罪(108条)となります。しかし、甲乙はBを全く認識していなかったので、現在建造物についての故意がなく、38条2項から現在建造物放火罪(108条)の罪は成立しません。
そこで、Bについて認識がないことから非現住建造物の認識はあるとして、109条の罪を検討します。ここで、甲乙は甲宅を放火する認識はあるので、自己所有の認識はあるとして、109条2項の自己所有非現住建造物放火罪の故意は認められると考え、同罪に問えそうとも思えます。
しかし、甲宅には保険がかかっているので、115条により他人所有となり、他人所有非現住建造物放火罪(109条1項)の故意があるとして、最終的には108条の客観面と重なり合う他人所有非現住建造物放火罪(109条1項)を成立させます。
甲宅の処理のポイントは、客観面では現在建造物放火罪(108条)なのですが、Bについて認識がないので108条の故意がなく、重なり合う109条の他人所有or自己所有非現住建造物等放火罪を最終的に検討する点です。そこで、保険がかかっていることから115条を使い、他人所有として109条1項の罪を成立させます。
ここでは、最終的に故意との関係で109条の自己所有or他人所有が問題となるので、保険という点から115条を使い、109条1項の他人所有非現住建造物放火罪を成立させます。
これに対し乙宅では、内妻Aが乙宅を普段使いしていることから乙宅は現住建造物といえ、そのことを甲乙が認識しているので、甲宅と異なり現住建造物の故意に欠けることはなく、現在建造物放火罪(108条)を成立させることができます。
108条の罪は自己所有・他人所有を問わず、現住or現在建造物を放火して焼損した場合に成立します。そのため109条・110条の罪と異なり、他人所有・自己所有が問題とならないので、115条を使う出番はありません。したがって、108条の罪に問える乙宅においては他人所有・自己所有が問題とならないので、115条は使用しません。
そして答案例9行目では、自己所有と書くと厳密には誤りです。甲宅については保険があることを甲乙が事前に認識しており、115条から他人所有になることの認識が甲乙にあるといえるからです。そのため、他人所有非現住建造物放火罪の共謀があるとすべきです。 (さらに読む)
未回答の質問
民事訴訟法 訴えの利益について
(これだけ予備試験75民事訴訟法11ページの事例)
XがYに対し債務不存在確認訴訟を提起した後、Yが同一債権についての支払い請求の別訴を提起した場合、本訴の訴えの利益は訴訟の進み具合等を考慮して判断するとのことでした。
本訴に訴えの利益が認められた場合、別訴の扱いはどうなるのでしょうか。
吉野先生の短文事例問題だけの講座を配信する予定はありますか?
ご質問いただきありがとうございます。
現在、吉野先生の短文事例問題のみの講座配信予定はございません。
先生および担当部署には、ご要望があった旨申し伝えいたします。
この度は、貴重なお声をいただきありがとうございます。 (さらに読む)
こちらの講座に音声ファイルは付属していますか
参考リンク
ご質問いただきありがとうございます。
こちらすべてのプランにつきまして、音声ファイルのご用意はございません。
ご承知おきのうえ、ご検討いただけますと幸いでございます。
何卒、よろしくお願い申し上げます。 (さらに読む)
お世話になっております。
ロープラ商法講座および論文を意識した会社法超インプット講座の受講生です。
前者には、論点ごとにランク付けが記載されているのに対し、本講座ではそうした記載がされていません。講義の中では、ある論点にはランク付けをされているのに対し、別の論点にはランク付けがなされれていません。
そこで、ロープラ講座のように、ランク付けを記載したものにアップデート願いたくお願い申し上げます。
参考リンク
この度は、貴重なご意見をいただきありがとうございます。
いただきましたご要望は、担当講師に申し伝えます。
引き続き、より良いサービス提供に努めて参りますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。 (さらに読む)
論パタ刑法2-2-7で、問題文終盤の「甲は、直ちにこのカードを使って同店舗内の現金自動支払機から30万円を引き出した。」行為につき窃盗罪の成否を検討していますが、同行為につき詐欺罪で検討することは可能でしょうか?
ご質問をいただきありがとうございます。
本問の行為については、詐欺罪では検討できないとするのが一般的です。なぜかといいますと、機械からお金を引き出す行為は、詐欺罪の実行行為たる「人を欺」く行為とはいえないからです。
246条の詐欺罪を成立させるためには、実行行為たる「人を欺」く行為(欺罔行為)が必要です。この欺罔行為は「人」に対してなされる必要があり、例えば、銀行の窓口の行員や電話先のお年寄りといった「人」を対象に、欺罔行為を実行することが必要です。
そうすると、現金自動支払機(ATM)のような機械からお金を引き出す場合は、その引き出し行為の相手は「人」ではなく機械であるため、「人を欺」く行為とはいえません。
そのため、本問のように機械からお金を引き出す行為は、詐欺罪の実効行為たる「人を欺」く行為(欺罔行為)とはいえないので、詐欺罪は検討できず、窃盗罪を検討することになります。 (さらに読む)
ご質問いただきありがとうございます。
こちらにつきましては、現状 期限は設けておりません。
ただし、今後担当講師の意向により、取り下げる場合もございますことをご留意いただけますと幸いです。よろしくお願い申し上げます。 (さらに読む)