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論パタ民法2-5-2の追認しない場合のD→E請求の解説に関する質問です。 第93回の21:40頃からの解説にて、Eは即時取得するからDはαを返還請求できない、とあります。ですが192について私の理解では、即時取得は無権代理の場面では適用できないと認識しています。BがC持分につき無権限だから即時取得の適用場面という構成も納得できるのですが、上記私の理解と相反する気がします。どう理解したらいいですか?
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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本問は、BがCDに無断で売却したにとどまるので、無権代理とはいえないと考えられます。つまり、Bが代理人と称して勝手に売却していれば無権代理となるのですが、本問は単に無断で売却しただけなので、無権代理の場合には当たらないとなります。
そのため、無権代理の事案ではないとして、即時取得が可能となります。

無権代理の事案となる場合には、「代理権がないにもかかわらず、代理人と称して」などの事情が書かれますが、本問はそのような事情はないので、無権代理ではないと判断します。 (さらに読む)
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4S講座の勉強において講義動画は理解できるまで何度も見たほうがいいですか? テキストなら自分が分からない部分だけをざっと確認することができるのですが、動画だと最初から最後まで全部見ることになってしまい時間がかかってしまいます。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、高橋法照講師より回答をお伝えします。
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講義動画については、1回だけ集中してご受講いただき、あとは論パタの復習や問題演習に充てていただいた方が得策です。
4S基礎講座は、教材と講義の両方で完結する仕組みになっていますので、講義動画は見ていただいたほうが良いです。しかし、何度も見る必要はなく、1回だけ集中して受講できれば十分です。 (さらに読む)
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刑法の構成要件的事実の錯誤(例、死体遺棄の故意で、殺人を実現)について 答案の冒頭で、甲が、~した行為につき〇〇罪の成否を検討すると書きますが、この罪名の部分には行為者の主観面における罪名を書くべきか客観的に実現した罪名を書くべきなのかは、決まり等あるのでしょうか?
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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これは、客観・主観を総合して最終的に成立するであろう犯罪名を書くのが一般的です。
 最終的に成立すると考えられる犯罪名を書くことで、読み手に安心感を与えるという発想になります。 (さらに読む)
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論パタ刑法2-3-6について質問です。甲に占有が残っているとして、業務上横領罪を成立させたら間違いですか?また、乙には盗品譲り受け等罪256条2項は成立しないのですか?
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 本問における業務上横領の成立は、やや厳しいですがあり得なくないと考えます。
 まず出題趣旨には「仮に,新薬の書類に対する甲の占有が失われていないとしても,後任部長にも新薬の書類に対する管理権が存在するとすれば,新薬の書類を持ち去る甲の行為は,共同占有者の占有を侵害することとなる点に注意が必要である。」とあり、仮にという形ですが、甲の占有を認定する余地があるように書かれています。
 そのため、甲の占有を認定する余地が排斥されているとまでは言いにくいので、業務上横領罪の成立はあり得なくはないと考えられます。
 そして、甲が占有する他人A株式会社所有の書類としても、甲がA社の社員であることから、委託信任関係はA社との間では認められると思われます。

 もっとも採点実感には「業務上横領罪とした答案は,新薬開発部部長が占有の主体であるとしつつも,甲が暗証番号を知っていることからその占有は失われないとするものが多数であったが,出題の趣旨でも述べたとおり,後任部長にも新薬の書類に対する占有があることは明らかであって,これを的確に把握できていなかったといえる。」とあります。
 そのため、甲の占有があるとして業務上横領罪にしてしまうと、後任部長との共同占有という問題が出てきて処理が非常に複雑になるので、ここは甲が部署異動したこと等を踏まえて甲の占有を否定し、窃盗罪の成否を検討するのが簡潔明瞭です。

乙については、甲に対して書類を持ち出すよう積極的に働きかけています。
この一連の事情を踏まえれば、盗品等罪よりかは、窃盗罪の共同正犯を検討するのが題意と考えられます。 (さらに読む)
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4s論パタ民法2-4-3の小問3で、Y側が錯誤取り消しできるか、という論述が求められているように感じましたが、この考えは妥当でしょうか?Yとしては増額請求できないなら取り消しも取りうる選択肢かなと思いました。 また、この点回答するならどのような論述になるか、教えていただきたいです。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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本問で錯誤取消しをしてしまうと、4000万円の代金債権も丸ごと消えてしまうので、この処理はYのニーズには合わないといえます。
Yとしては、4000万円から4200万円に増額したいという思いはありますが、4000万円は確実に支払請求できるなかで、敢えてこれを全てなかったことにすると儲けが全くなくなるので、この点はYの思いとしては考えにくいといえます。

したがって、錯誤取消しの回答は求められていないと考えられます。 (さらに読む)
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会社法299条は、株主総会を招集するには、取締役は総会の日の二週間前までに・・・通知を「発し」なければならないと規定してますが、これは文言通り発しさえすれば足り、二週間前までに通知が現実に株主に到達することまでは必要はないのでしょうか。もしそうだとすると、同項の趣旨である、株主の総会総会への出席・準備の機会を保障するという関係でよくないと思うのですが、これについてご教示いただけますでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 これは発信主義が採用されており、「文言通り発しさえすれば足り、二週間前までに通知が現実に株主に到達することまでは必要はない」という理解のようです。
 この場合でも、届いていない場合には株主総会決議取消しの訴えが可能と考えられますので、そこまで問題はないものと思われます。 (さらに読む)
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論文について質問です。仮に来年以降に予備試験、司法試験を目指すとすれば、書く練習より、pcで文字を打つ練習をしたほうがいいのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 これは、PCで練習しておいた方が望ましいと考えます。PC入力が遅すぎると致命傷になる可能性がありますので、文字を打つ練習をしておいた方が得策です。 (さらに読む)
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民法2-2-7の相当因果関係(416条)の検討について。 本問では、特別の事情があるので、同条二項を検討していますが、特別の事情がない場合(二項の検討をしない場合)であっても415条を書くときは基本的に416条1項は検討するという理解でいいのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 特別の事情がない場合でも、416条1項を簡潔に検討した方が無難です。
 債務不履行の損害賠償については、通常事情に基づく通常損害を規律するのが416条1項です。
 したがって、特別事情がない場合でも、通常事情に基づく通常損害が認められるのであれば、その根拠となる416条1項を簡潔に検討した方が緻密な答案になります。 (さらに読む)
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民法の債権的請求で約定債権関係と法定債権関係がありますが、債務不履行に基づく損害賠償請求や解除による原状回復請求としての金銭債権は、体系的にはどこに分類されるのでしょうか?
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 これらは約定債権関係に位置付けられると考えます。
 法定債権関係とは、当事者間に契約がなくても使える権利であり、事務管理・不当利得・不法行為などを指します。
 債務不履行に基づく損害賠償請求や解除による原状回復請求としての金銭債権は、不法行為等には当たらず、契約に基づく関係から生じていますので、約定債権関係と考えられます。 (さらに読む)
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三段論法について質問です。法人の人権享有主体性の論点を論証するとき、規範定立したらあてはめる部分はあまりないと思うのですが、その場合は、無理に三段論法にこだわらずに、その一段で済ませてしまってよろしいのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 お考えの通り、無理に三段論法にこだわらずに、その一段又は一文で済ませてしまって大丈夫です。
 その問題において、明らかに争いのない論点・小さな前提論点であれば、フルで三段論法を行わず、簡潔に処理しても問題ありません。 (さらに読む)
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民法2-4-4の答案例65行目からの無権代理人が自己に「代理権」がないことを知っていたに関して質問です。 上記の代理権とは、任意代理権がないことなのか、761条の法定代理権がないことなのか、どちらになるのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 これは、売買に関する任意代理権がないことと考えられます。
本件売買の際には何の任意代理権もなかったわけですから、この任意代理権がないことを知っていたと考えるのが素直です。 (さらに読む)
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民法2-4-8小問2の答案例で責任論(49行目~)と損害論(58行目~)をわけて論述されていますが、この書き方にどのような意味があるのでしょうか?これらを使い分けて書くメリット等あれば教えていただきたいです。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 責任論は、そもそもどんな責任が発生するかという話です。
 これに対し損害論は、責任が発生しているうえで、いくらの損害額になるのかという話です。

 責任論は責任があるかないか、損害論は責任があるうえで具体的なお金の話というイメージになります。本問では、当事者が多数に渡るので、当事者ごとの処理を簡潔にするために、まずは共通する議論として責任論を処理しています。
 そのため、まずは加害者側の責任論をまとめて書き、次に被害者側の事情をそれぞれ損害額ごとに分けて書くことで、内容がごっちゃにならないというメリットがあります。 (さらに読む)
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条解テキスト民法710条の解釈で、被害者の慰謝料請求権も相続の対象になる。理由として、遺族固有の慰謝料請求権(711)との二重取りを防止をあげられていますが、私は相続性を肯定すると逆に二重(被害者の慰謝料請求と遺族固有の慰謝料請求)に得られる結果となるのではと感じたのですが、これについて解説よろしくお願いいたします。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 挙げていただいた理由の部分は、正確には「二重取り防止の運用可」とありますので、これは、具体的な金額の処理で二重取りにならないように金額を定めれば問題ないという意味になります。

 つまり、被害者の慰謝料請求権を相続し、遺族固有の慰謝料請求権もある場合でも、具体的な金額の部分で調整すれば二重取り防止は可能なので、権利自体は2つあってもよいとなります。そのため、金額調整で対応すればよく、権利自体は2つの慰謝料請求権があっても問題ありません。  (さらに読む)
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刑法の共犯が聞かれた時に、共同正犯が否定される場合(どうみても共同正犯が否定される場合の除いて)でも一応、一言共同正犯が認められないことを指摘して従犯の論述に入ったほうがいいでしょうか。共同正犯から検討している姿勢を伝えるために。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 お考えの通り、一言共同正犯が認められないことを指摘して従犯の論述に入ったほうが望ましいといえます。
 共犯の処理においては、基本的には共同正犯で処理し、そこからこぼれたものを狭義の共犯(教唆犯・幇助犯)で処理するので、共同正犯とはならない点を簡潔に触れた方が無難です。 (さらに読む)
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民法2-4-11問2。民法の答案は基本的に原告の請求→被告の抗弁で論述する場合が多いかと思いますが、本問のように問が抗弁に当たる場合には論述も上記の基本にはのらず抗弁から書き始めても問題ないと考えてよろしいでしょうか。また本問のような問でなくても絶対に請求権→抗弁の形で書かなくてもいいのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 本問のような問であれば、Bの解除の抗弁から書き始めても問題はありません。
 問題文の書きぶりから、Cの代金請求権の行使が前提とされているからです。
 また、Cが債権譲渡を受けて代金請求権を取得したという請求権の部分は問1で処理済みなので、この部分を問2で繰り返さなくてもよいとも読み取れます。

 もっとも、問題文によっては請求権の内容から書いた方が望ましい場合もあり得ます。例えば、前提となる請求権に関する事情が多い場合であれば、書いた方が無難です。
 このように、何をどのように・どれくらい書くかはあくまで問題文の書きぶりから相対的に決まってくるので、日頃の学習から問題文としっかり対話することが重要となってきます。

 そして、民法は思考過程を示すことが重要なので、本問のような問でない場合は、請求権(メインの検討事項でなければ簡潔に書く)→抗弁の順番で書く方が基本的には安全です。
 つまり、絶対に請求権→抗弁の形で書かなければならないというものではなく、問題文の書きぶりから相対的に決まります。
 論文式試験は臨機応変さも問われますので、固定的な何かを決め打ちせずに、問題文と対話して何をどのように・どれくらいの分量で書くべきかをその都度判断することが必要ですが、日頃の学習から問題文をしっかり検討していけば大丈夫です。 (さらに読む)
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検討段階とそれを実際に答案で論述する/しないの判断基準などがあれば教えて頂きたいです。例えば民法2-4-11の問2の答案例でCの466条~467条までの一連の検討を論述せずにBの解除の論述から始まっているのは、Cが466~467について問題なく満たすため省力しているという認識で正しいでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 その認識で大丈夫です。
 本問では466~467条の債権譲渡については、問1で466条の処理をしていることから、この処理を前提として問2では解除から検討します。すなわち、債権譲渡自体は問1で処理しているという発想です。

 論述する/しないの判断基準としては、問題文の事実の量・設問ごとの相関関係から現場で柔軟に判断します。
 本問であれば、問1の部分で債権譲渡を前提として軽く触れ、問2では問1を前提としているので債権譲渡の大展開は不要だと考えることができます。また、債権譲渡に関する事実は事案1の②くらいしか書かれていないので、事実の分量が少ないことからそれほど問題にならないと考え、簡潔に書くにとどめるとなります。 (さらに読む)
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民法の短答対策が論文にもなるというのは具体的にどのような意味でしょうか。例えば論パタの物権的請求パターンにおける所有権に基づく土地の返還請求権で原告所有を基礎づける論パタで扱っていない所有権取得原因をおさえることで解法パターンを増やし結果論文に活きてくるというような意味でしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 挙げていただいたように、知識や解法パターンを増やすという意味ももちろんありますが、より本質的な意味としては「条文単位の思考過程を身につける」という点にあります。

 民法の論文では、論点単位の発想では解きにくい問題が出やすいです。このタイプの問題については、条文に定位して地道に考えていくことが求められるところ、短答対策を通じて条文知識を増やしたり、あるいは選択肢を条文単位で考えたりすることで、この「条文単位の思考過程」が身につきやすくなります。もちろん、その過程で知識や解法パターンも増やすことができます。
 したがって、知識や解法パターンを増やすという点に加え、常に条文に定位して考える姿勢を身につけるという意味で、短答対策が論文にもなると言われたりします。 (さらに読む)
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4S基礎講座論パタ民法 2-5-1設問2のZのYに対する返還請求と、2-3-2のCのBに対する同請求について。前者はZの所有権取得原因であるXZ売買につき177条を反論として処理し、後者はCの所有権取得原因であるAC売買につきBの取得時効を反論としその再反論で177条を処理しています。 共に相手方が所有権を原始取得する場合で、請求側が背悪であるのに処理が異なる理由がわからず、教えて頂きたいです。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 両者は背信的悪意者は保護されないという点では同じでおり、その説明方法として、①177条の「第三者」の解釈論と背信的悪意者排除論という物権法からの説明(2-3-2)と、②背信的悪意者からの請求は権利濫用とする法定債権&民法総則からの説明(2-5-1)という違いになります。

 まず、①の2-3-2は明らかに物権法だけの問題ですので、物権法からのアプローチをしています。ここでは、二重譲渡類似の関係となるので177条の問題と捉え、同条の「第三者」の定義を起点にして背信的悪意者排除論を使います。ここでは、物権法のアプローチで解いています。
 
 次に、②2-5-1では、不法原因給付という事情がありますので、不当利得という法定債権を設問1で使っています。そして、設問2では不当利得という法定債権&所有権に基づく物権請求を考えています。すると、ここでは所有権に基づく物権請求に加え、法定債権としての不当利得返還請求権も合わせて想起されています。
 そこで、物権請求&不当利得請求を共に封じるロジックとして、総則の規定である権利濫用を使っています。すなわち、背信的悪意者排除論はあくまで物権法の規定ですので、不当利得という法定債権にも直ちに妥当するわけではありません。
 そのため、不当利得請求も合わせて封じるために、物権法・債権法両方に及ぶ総則の規定である権利濫用を使ったという違いが生じます。 (さらに読む)
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相互利用補充関係と因果的共犯論の違いがわかりません。特に承継的共同正犯を相互利用補充関係で書いた方が安定すると仰っていたのですがそれとの関係でどのような違いがあるのかを教えて下さい。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 両者は、共犯が一部実行全部責任で処罰される根拠に関する説です。
 相互利用補充関係説は、行為者どうしで犯罪の一体的実現をするにあたり、各関与者が他の関与者と協力して自分たちの犯罪を遂行しようという意識の連絡のもと、実際にも重大な寄与をして構成要件を実現するという相互利用補充関係を処罰根拠とします。
 他方で、因果的共犯論は、共犯者が間接的に法益侵害またはその危険を惹起した点を処罰根拠とします。
 平たく言えば、共犯者間で互いに利用し合う関係性を重視するのが相互利用補充関係説、法益侵害やその危険という結果面を重視するのが因果的共犯論と考えられます。
 
 さて、因果的共犯論の場合は、承継的共同正犯の否定説につながります。
 この理由として、後行行為の因果性は遡及しないため、先行行為により構成要件該当事実の一部が惹起されたのであれば、後行行為が構成要件該当事実全体に因果性を及ぼすことはできないといえるからです。 
 この場合に因果的共犯論の立場から共同正犯を認めるためには、処罰の必要性という政策的理由から因果性を拡張し、承継的共同正犯の場面においては、後行行為の結果に対する因果性があれば足りると解釈するのがあり得ます。
 
 一方で相互利用補充関係説であれば、互いに利用し合う関係があればよいので、先行行為を後行者が積極的に利用し合う関係が見いだせれば承継的共同正犯の限定肯定説につながります。
 
 このように、承継的共同正犯の肯否に当たって、①因果性が遡及しない点を理由に否定説につながるのが因果的共犯論(この場合に承継的共同正犯を認めるためには、因果性を拡張して結果への因果性あればよいと論証する必要あり)、②相互利用補充関係が見いだせればよいので限定肯定説につなげられる相互利用補充関係説という違いが見出せます。 (さらに読む)
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刑法2-3-11甲の罪責 致傷結果が丙の加功後に生じたものと断定できる場合、問題文一段落目の甲のいきなり手拳でAを殴打した行為には何罪が成立するのでしょうか。この場合でも、①一連の行為としてまとめて検討して240条を成立させるのか、②二段落目の行為は介在事情として因果関係の議論に流すのか等が思いついたのですがどれが正解なのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 この場合は、①になると考えられます。
 ここでは、殴打して財物を奪取しているものの致傷結果は生じていないので、まずは強盗罪となります(答案例12~15行目)。そのうえで、最終的に後半の行為が強盗致傷罪まで行くので、この強盗致傷罪に吸収されて強盗致傷罪一罪になると考えます。
 殴打行為は強盗罪で完結しているので、因果関係の介在事情とするのはあまり一般的ではないと考えます。因果関係が問題となるのは、実行行為と結果との間に介在事情がある場合ですが、殴打行為は強盗罪として結果まで一旦は完結しているので、介在事情とは言いにくいです。 (さらに読む)
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