皆様、いかがお過ごしでしょうか。今回は、司法試験・予備試験受験生であれば一度は考えたであろう個別指導についてお話ししたいと思います。
現在、多くの司法試験予備校や企業、弁護士や有資格者の個人が司法試験・予備試験の個別指導を行っていますが、私が個別指導をはじめた平成26(2014)年ころは、私を除けば2~3人程度でした。高校や大学の進学・受験予備校や家庭教師業界では一部資格試験受験生向けの個別指導(ただし、個別指導ではなく家庭教師と呼んでいたようです)を行っていたところもありましたが、少なくとも司法試験予備校では行われなかったと記憶しています。また、今でこそ当たり前のWEB会議ですが、当時はそれほど普及しておらず、出張での個別指導が主流でした。
そのような個別指導という学習スキームが未確立だった時代から、私は、WEB会議による個別指導を確立し、10年以上にわたって、全国各地、時には海外の受験生に個別指導を行ってまいりました。そのような私の経験から、個別指導について詳しく解説いたします。
個別指導を除くと、受験生の学習環境としておおむね1~5になろうかと思います。
1. 講師1人と受講生多数の集団講義
2. WEBなどによる講義視聴
3. ゼミ
4. テキスト等による自学自習
5. 答案練習・添削指導
以下、長所・短所まとめてみました。
| 学習形態 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|
| 1.講師1人と受講生多数の集団講義 | ・講師側の事情として、受講生集団に一定の知識・スキルを身につけさせることができる。 ・講義計画(シラバスなど)をはじめ基本的に講師側の事情のみで運営できる。 ・そのため受講生側も講義概要があらかじめわかっており、知識の習熟の程度が予測可能である。 |
・講義日時があらかじめ決められていることから受講生の時間的な自由度は低い。 ・受講生の個別対応が困難、限定的。 |
| 2.WEBなどによる講義視聴 | ・1のメリットがほぼ活かせる。 ・自宅にいながら、いつでも視聴可能。 |
・1に比べ臨場感に欠ける。 ・受講生の個別対応が困難、限定的。 |
| 3.ゼミ | ・闊達な議論や討論により、アウトプットを含めた深い学習が期待できる。 ・人間関係によっては、互いに情報交換ができたり、受験勉強とは別のプライベートを充実させたりできる。 |
・開催のために日程調整しなければならない。 ・一部だけで盛り上がり、他の参加者が放置されてしまうことがある。 ・そもそもゼミを開くための人脈に乏しいことがある。 ・ゼミ仲間と遊んでしまい、受験勉強がおろそかになることがある。 ・ゼミ仲間と人間関係がもつれ、いじめなどに発展することもありうる。 |
| 4.テキスト等による自学自習 | ・自分のペースで学習できる。 ・費用も比較的安価。 ・煩わしい人間関係に悩まされない。 |
・学習に限界がある。 ・受験に必要な情報が得られないことがある(ただし、インターネットが発達した現代ではほとんどデメリットはない)。 |
| 5.答案練習・添削指導 | ・最終的な試験・合格イメージをつかみやすい。 ・(答練・模試の場合)相対的な成績がわかる。 ・具体的に長所・短所がわかりやすい。 ・良い成績だと、勉強のモチベーションが上がる。 ・煩わしい人間関係に悩まされない。 |
・悪い成績だと、勉強のモチベーションが下がる。 ・添削者の質が玉石混交(私自身、質の悪い添削者の答案を再添削した経験がある)。 |
上記を踏まえ、個別指導の長所・短所ですが、長所としてはなんといっても高度な柔軟性があげられます。こうした柔軟性こそが、個別指導の意義であるといえます。短所としてはやはり料金でしょう。時間単価からすると、どうしても割高になります。
まず、受講生の属性について、当然ですが司法試験・予備試験受験生が多いですが、法科大学院生も多いです。未修1年次生も何名か担当いたしました。あとは、法学部生、他の資格受験生などです。また、20代の現役の大学生から50代の方まで様々の年齢の方がいらっしゃいます。利用頻度ですが、1か月に1時間という方から1週間に3日(1日各2時間)という方もいらっしゃいます。
利用目的ですが、論文の添削指導、スポット的な講座、カウンセリング、質疑応答、法科大学院定期試験対策など様々です。
受講生の実力的なところですが、ほとんど学習されていない方から、ある程度学習は進んだものの、司法試験合格レベルまであと一歩といった方までが多い感じです。そのため、個別指導の利用者の多くは、順位は別としてなにはともあれ合格・進級したいという方がほとんどです。他方で、合格は当然として上位をめざすという方はあまりいない感じです(おそらく個別指導自体受講しないのかと思います)。
また、個別指導のみで学習を完結させるのではなく、必要に応じて予備校等の受講や答練を併用していただくことが多いです。特に、模試については定評ある予備校等で受験することを強く推奨しています。
さて、冒頭述べましたが、現在は予備校や企業を含めたくさん個別指導講師がいますが、だれ(どこ)を選ぶかというところが悩みどころかと思います。いつでもなんでも対応できるという講師はそうそういないと思いますが、おおむね以下の要素が考慮対象になるかと思います。
| 考慮対象 | 考慮要素 |
|---|---|
| 1.相性 | まずはなんといっても相性。初回面談での言葉遣い・振る舞い・熱意・誠実さ、受講生の状況(特に苦しみ)を理解しようとする姿勢、人間性など。難しく考えず直感でよい。1対1の個別指導では相性が成果を左右する。 |
| 2.講義時間 | 有職者・ロースクール生・育児/介護中の受講生などに配慮し、土日祝や夜間など柔軟に対応できるか。 |
| 3.講義内容 | 受講生のニーズにどこまで応えられるか。例:会社法の組織再編を1時間で解説してほしい等、個別の要望に対応できるか。 |
| 4.質問への回答 | (1) 受講生のレベルを把握し、そのレベルに合わせて受講生目線で説明できるか、またはそうしようとする意欲があるか。 (2) 質問の意図が曖昧な時に、その意図を汲み取る能力または汲み取ろうとする姿勢があるか(意図不明で回答しないのはNG)。 |
| 5.予算 | 時間単価の高低だけでなく、初期費用(入会金・セット料金)、途中解約時の未受講分返金の有無など。 |
| 6.提案力 | 受講生の状況・実力・予算を踏まえ、最適な講義プランや短期〜長期計画を立てられるか。講師と十分に協議できる信頼関係を構築できるか。さらに、計画だけでなくPDCAサイクルを実施できるか。 |
| 7.カウンセリング | 受講生のストレス・不安に理解を示し、必要に応じてカウンセリング的支援ができるか。講師は医師ではないため治療はできないが、通院状況等を共有しつつ適切な提案ができるか。 |
なお、司法試験・予備試験の合格順位を気にされる方も多いかと思います。当たり前ですが、下位合格者よりも上位合格者のほうが、司法試験・予備試験受験生としてのレベルは上です。そのため、上位合格を希望しているのに、下位合格者に指導を依頼することはないかと思います。しかし、先ほども述べましたが、受講生の多くは、ほとんど学習されていない方又は、ある程度学習は進んだものの、司法試験合格レベルまであと一歩といった方です。短期上位合格者が、こうした受講生の「苦しみ」を理解した上で、合格水準に引き上げる熱意や能力が担保されているかというと必ずしもそうではないのかなと思います。
最後になりましたが、個別指導を利用して、見事、合格を勝ち取ってください!
2026年2月27日 藤澤潤
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