〇講師紹介
兵庫県神戸市生まれ。小中学時代をシンガポールとニューヨークで過ごした後, 帰国。国際的な領域で活躍できる弁護士になることを決意。平成28年京都大学法科大学院に入学(既修)。法科大学院1年目に予備試験に合格, 翌年司法試験に合格。
帰国子女であることを活かして英語講師を4年間勤める(英検1級一発合格、TOEIC初回受験でリスニング満点・900点超)。その中で、比較言語学の観点から、プログラミングや数式のように知識を再構成した上でのインプット・アウトプットの有効性に気づき、自身の司法試験受験において上記学習法の転用を実証。
そのような経緯から受験過程の2年半の処理手順を蓄積化した「論文処理手順マル秘ノート」は、発売2日で月間1位、3日で年間3位にランクイン。
「自身が受験当時欲しかったものこそが、今受験生の欲しいものである」をモットーに、教材製作に取り掛かっている。
twitterにてリアルタイム質問対応中(https://twitter.com/law_examinee)
〇予備試験への挑戦
(1)総論
予備試験に合格するための最大の壁は論文式試験である。実際に, 予備試験といわれれば論文式試験を想起する人の方が多いのではないか。そんな論文式試験であるが, これを通過するためには, 高度な法知識・法理論は不要だというのが, 予備試験論文式試験の過去問に目を通した時の第一印象だった。問われる問題は決して難解なものではない。実際, 70分の試験で答案用紙も4ページしかないのであるから, 難しい出題ではないはずである。予備試験に通るのが難しい理由は, 問題の難易度が高いからではなく, その出題範囲が圧倒的に広いことと, 問われることが基礎的だからこそ少しのミスをするだけで一気に順位が下がってしまうことにある。
だからこそ, 基礎的な法知識・法理論を確実に身に着けることを第一に学習を進めた。具体的には, 基礎的な予備校本や基本書を読み込むとともに, 論証パターンをとにかく再現できるように考え方とフレーズを覚えこんだ。その際に, 網羅的である一方で回して読み込める分量かつ各科目で形式が統一されている教材が必要であることに気づき, 処理手順の作成が始まったのであった。
また, 論文式試験では六法を引く速度が遅ければその分だけ答案に割ける時間が減ってしまうため, 六法を何度も素読した。基礎を身に着けるためには, 法律論が常に条文が出発点であることを意識し, いかなる時も今はどの条文のどの文言について勉強しているのか見失わないようにすることが重要だと考えている。
予備試験は, いかにミスをせずに幅広い出題に対応しきれるかがカギである。
(2)短答式試験
予備試験, とりわけ論文式試験に合格するために必須なのが幅広くかつ盤石な法学の基礎と考えると, 短答式試験の学習は重要な意味合いをもつ。論文で聞かれる知識, 論点, 判例などは, すべて知識としては短答式試験で既に問われている。だからこそ短答式試験対策としては, とにかく論文を意識した学習をした。具体的には, 予備校本・基本書を読み込んだうえで過去問を解き, そこで出てきた条文や論点はかならず六法にシャープペンシルでマークをつけて確認し, 正誤だけでなくその理由を論文で書くのと同じように法的三段論法で説明できるようにした。このように論文を見据えて短答対策をすることで, 暗記量が多くかつ淡泊で退屈な学習を有意義かつ比較的苦しまずこなすことができたと思う。
(3)論文式試験
論文式試験を意識して短答式試験の学習をしていたおかげで, 短答合格時点で知識面では十分合格水準を満たしていたと思う。そこで, 私はとにかくミスを減らすこと, 答案を書く速度を上げる観点から論文式対策を進めた。論文式試験では, かならず各科目4ページ書ききることで, 相対的に上位を目指そうと決めていたし, 実際全科目4ページ書ききることができた。
そのためには, 各科目について問題の検討手順や答案を書く際の処理手順といったものを自分の中で確立しておく必要がある。知識は揃っているのだから, あとはその使い方を学ぶだけということである。そこで過去問演習を通して, どのように問題を読めばミスをせずかつ早く問題を分析できるか, 答案を書けるかを研究した。
(4)口述試験対策
口述対策としては主に短答知識の見直しと六法の素読を行い, 予備校の口述模試を受けた。口述模試で合格点がついたことで自信がついたし, 本番でもマナーなどの形式面について悩まず回答に集中できた。