民法は1044条と司法試験・予備試験科目で最も条文数が多いと言われている科目です。また、短答・論文を総合すれば総則・物権・債権・親族相続と出題範囲も膨大です。多くの受験生が民法総則、物権、債権(特に契約解釈)を重点的に学習し、直前期に短答頻出の親族相続対策をするという方法を採用しているのではないでしょうか。そんな中、意外に勉強が後回しになりがちになるのが、債権の一番最後『不法行為』です。
司法試験でも予備試験でも不法行為の問題が毎年1問か2問は出題されます。出題範囲は判例から基本ですが、あやふやに判例を記憶・理解していると「あれ?どっちだっけ?」というように迷わせる問題が多いです。
論文式試験、特に司法試験の論文式試験では過去に複数回、不法行為の設問が出題されています。
ほとんどが最後の「設問3」として配点割合30程度で出題されており、判例をベースに出題される可能性が高いです。要件と判例を的確に記憶・理解しておけば判例との違いに気付くことができ、それを意識したあてはめが可能になり、高得点が望めます(平成23年の過失相殺の類推などはその典型例です)。
しかし、短答式同様あやふやな判例の記憶・理解で臨むと、ベースになっている判例に気付くことができなくなるリスクがあります。設問3という終了時刻が迫る中でそういったリスクを負うことは極力さけられるべきです。
このように、短答・論文両方で出題可能性がある『不法行為』を多くの受験生が後回しになりがちになる原因は様々考えられます。
財産法の一番最後の条文という条文の位置もさることながら、一番の原因は条文は簡素であるにもかかわらず判例の量が膨大で勉強がしにくいという点にあるのではないでしょうか。判例六法の不法行為の判例を参照すると複数ページに渡っており、どれが重要なのかそうでないのかの判別が付きづらく、市販テキストであっても相当量に及びます。
しかも、『不法行為』には709条の一般不法行為だけでなく、慰謝料請求権や監督者責任、使用者責任、工作物責任、共同不法行為、過失相殺、消滅時効など特殊なものも多く含まれます。これらの要件・判例を理解するとなると相当な時間と労力を要します。
本講義では、条文をスタートにして著名な判例をピックアップして解説し、3時間半で解説します。講師は平成27年予備試験合格、平成28年司法試験合格の清水啓二先生です。
講義では試験での出題可能性を意識しながら、一般不法行為の各要件の考え方を解説の上、短答・論文に共通する著名な判例を紹介・解説します。本講義で取り扱う判例を的確に理解しておけば、短答式試験で迷うことがなくなるだけでなく、論文式試験で判例との違いに気付く可能性が大きくなり、あてはめを充実させることができます。
また、講義では一般不法行為以外の慰謝料請求権や監督者責任、使用者責任、工作物責任、共同不法行為、過失相殺、消滅時効なども取り扱い、著名判例を解説します。後回しになりがちな不法行為全般をカバーすることが可能です。
さらに、判例法理や規範を意識してもらえるようレジュメでは判旨の重要箇所にアンダーラインを引き、視覚的にもわかりやすくする工夫が施されています。これにより、判旨のうちどの部分が重要なのか迷う必要がなくなります。
本講義は音声講義になります。レジュメはPDFのダウンロード方式になります。製本は行いません。
講義時間:
約3時間30分
配信状況:
全講義配信中
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