中学生の時に観たドラマがきっかけで、法曹の世界に憧れを抱きました。法学部4年の春、本格的に司法試験の勉強をスタート。司法試験は非常に難易度の高い試験であり、独学や予備試験では自分にはハードルが高いと感じたため、ロースクールへの進学を選択しました。ロースクールなら、司法試験対策に直結したカリキュラムがあり、必要な知識を体系的に学べると考えたからです。
しかし、ロースクール入試では苦戦を強いられました。複数校を受験したものの、第一志望のロースクールには不合格。浪人も覚悟しましたが、最終的には何とか合格を勝ち取り、進学することができました。
とはいえ、進学先は司法試験の合格実績が高い学校ではなく、必ずしも本意とは言えない結果でした。そうして、ギリギリのスタートからロースクール生活が始まりました。
ロースクール1年目は、講義と並行して、司法試験の過去問や授業で扱った重要判例を中心に学習を進めました。
先輩から「インプット過多にならないように」とアドバイスを受けていたため、アウトプットには1年目の早い段階から取り組みました。過去問については、「同じ問題が出たら同じように解けるようにする」ことを意識し、とにかく1周することを徹底。さらに、過去問の分析本にある参考答案や再現答案を見て、それを再現できるまで繰り返し書くようにしました。
選択科目については、講義だけでは十分に理解できていないと感じたため、2年目の春休みから労働法が強い某予備校の労働法を受講。先輩からおすすめされた講座だったこともあり、他の参考書に手を広げることなく安心して学習できました。また、演習では大手予備校の赤白本を活用し、BEXAのロープラクティスもこの時期に取り入れました。過去問だけではカバーできる範囲に限りがあり、ロープラクティスを通じて新しい論点や処理手順を学べたことは、大きな収穫でした。実際、試験では新たな論点が出題されることも多いため、ロープラクティスを活用したことで、より実戦的な対応力を養うことができたと感じています。
令和5年初めての司法試験を受験しました。試験へ向け、全科目の過去問を分析し取り組むことで基礎力を養いました。試験の手応えはあったものの、結果は不合格。大きなショックを受けました。前年に比べて優秀層が増えたことで、合格枠に入ることができなかったのだと思います。また、令和4年の基準で勉強していたため、より突き詰めた学習が必要だったと痛感しました。同じレベルで令和4年に受験していたら、合格していたのではないかと思いました。
精神的に大きな挫折を経験し、試験後は勉強に手がつきませんでした。そこで、1か月間は勉強を休んで気持ちを立て直すことにしました。その間は、友人との交流や休息に充てました。そして12月、再び学習を開始。「就職は考えず、合格を目指して進むしかない」という覚悟で、自分を奮い立たせました。わかってはいたものの、改めて実際の成績表を見たとき、自分の勉強法が間違っていたことを認めることはとてもつらかったです。
そこで、まずは得意分野をさらに伸ばすのではなく、苦手分野を克服することが必要だと考えました。憲法と行政法にはもともと苦手意識がありましたが、民事系については自覚がなかったため、成績表を通じて自分の課題を認識しました。
対策として、憲法は論点が明確だったため、過去問を徹底的に解き、「試験に落ちないレベルまで引き上げる」ことを目標に設定。行政法は、「合格水準に乗ること」を目標に、とにかく数をこなすため、過去問に着手しました。課題の民事系については、3科目ともに、BEXAのロープラクティスで演習を徹底的に繰り返しました。以前から試験対策として活用していましたが、それまでは、新しい論点を頭にいれることで「理解したつもり」のレベルだったように思います。そこから演習を試験の直近まで繰り返すことで、基本的論述について深く理解できるようになり、試験本番を迎えることができました。
全体としては、答案を合格者に見てもらうことで、自分の癖を改善していき、合格水準の答案が書けるよう学習を進めました。学習の軌道修正には苦労しましたが、合格者の意見を参考にしながら、学習法や本番での解答の仕方を見直していきました。この時、最初に抱いた「法曹になりたい」という思いが、モチベーションの源となりました。
苦手科目を合格水準まで引き上げることを目標に、重点的な対策をして迎えた翌年の試験。結果は、無事に合格でした。
この経験を通じて、自分では苦手だと感じていなくても、成績と向き合い、苦手を自覚し、確実に「落ちないレベル」まで引き上げることの重要性を痛感しました。大きな挫折から学んだことを愚直に実践し続けたことで、合格を勝ち取ることができたと思います。
また、独学だけでは方向性を誤ることがあるため、勉強の量や起案、論点について不明な点があれば、他の人に積極的に聞くことが大切だと感じました。私自身、ロースクール時代は先生に質問し、司法試験に落ちてからは合格者の方々にアドバイスを求めました。一つひとつ苦手や疑問を解消し、地道に積み重ねていく。当たり前のことですが、その積み重ねこそが、合格への確かな道だったのだと思います。
特に、複数回受験生に向けてですが、受験すると決めたら諦めないで欲しいです。私も複数回受験を経験したので、ぜひ頑張って欲しいと思います。
また、学習の際は、流行りのものや手広くしすぎずに、先輩や合格者におすすめを聞いて、自分に合った教材や参考書を絞って学習することをおすすめします。
受験者数が多いことと、参考書が多いことで選びました。
科目 | 教材 |
---|---|
憲法 | 短答対策 短答過去問パーフェクト 論文対策 『憲法ガール』大島義則(法律文化社) 『判例百選』 『読み解く合格思考 憲法』(辰已法律研究所) |
民法 | 短答対策 短答過去問パーフェクト 論文対策 『LawPractice民法攻略講義』BEXA 葵千秋 『判例百選』 |
刑法 | 短答対策 短答過去問パーフェクト 論文対策 『趣旨規範ハンドブック』辰已法律研究所 (著) |
行政法 | 論文対策 『行政法ガール』大島義則(法律文化社) 『行政法解釈の技法』伊藤建, 大島義則,橋本 博之 (著) |
商法・会社法 | 論文対策 『LawPractice商法攻略講義』BEXA 望月楓太郎 『趣旨規範ハンドブック』辰已法律研究所 (著) 『判例百選』 |
民事訴訟法 | 論文対策 『趣旨規範ハンドブック』辰已法律研究所 (著) 『LawPractice民事訴訟法攻略講義』BEXA 剛力大 |
刑事訴訟法 | 論文対策 『趣旨規範ハンドブック』辰已法律研究所 (著) 『事例演習刑事訴訟法 第3版』古江 頼隆 (前同志社大学教授)/著 『判例百選』 |
2025年4月15日 BEXA事務局
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